ストレスホルモン減少、森林浴「お薦めの森」認定へ

 自然豊かな森林の中を歩くと、リラックス効果が本当に体に表れることを、独立行政法人森林総合研究所や日本医科大学の研究チームが科学的に裏付けた。

 ストレスホルモンの減少など、身体の生理学的データが改善していた。森林総研などでは、調査した10か所の森林でリラックス効果の高さを個別に評価し、お薦めの森として認定する。

 森林総研の宮崎良文・生理活性チーム長らは、男子学生12人を2班に分け、国内の森林浴発祥の地とされる長野県上松町のヒノキ林など森林10か所と都市部で、それぞれ歩行や休息をしてもらった。翌日は森林と都市部で班を入れ替え、心拍や唾液(だえき)、血圧などを比較した。

 10か所中5か所で、リラックス度の指標となる副交感神経の働きが高まり、ストレスを示すホルモン「コルチゾール」の唾液中濃度も5か所で減少。そのほか血圧も5か所で下がるなど、総合的にみて、10か所すべてで森林浴の効果が確認できた。

 一方、日本医大の李卿講師らは、37~55歳の会社員12人に、長野県飯山市の森林に3日間滞在してもらい、血液中の免疫細胞(NK細胞)を調べた。その結果、森林浴の後には、細胞数自体が多くなるとともに、抗がん作用を持つとされるたんぱく質も増え、免疫力も5割アップすることがわかった。

 宮崎チーム長は「鳥や虫の種類が多く、規模が大きく樹種も豊かな森林ほどリラックス効果が大きい傾向があった」と話している。

 ◆リラックス効果が裏付けられた森◆

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